2020年12月08日
ダイセル、銀ナノインクで低温/超細線描画に成功
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ダイセルは8日、同社の銀ナノインク「Picosil」を用いた、低温プロセス(摂氏120度)での超細線描画に、2 種類の描画方法で成功したと発表した。

銀ナノインクは、数十ナノメートル(nm)の銀粒子を含有する、配線/電極を形成する導電インク。粒子径の小ささから、線幅の細い配線形成の可能性がプリンテッドエレクトロニクス分野で期待されていた。

従来、銀ナノインクによる5マイクロメートル(μm)以下の超細線描画は、高温プロセスのみで可能とされてきたが、低温プロセスで使用できる「Picosil」によって、樹脂フィルム等への描画が可能になった。

(1)今回、超微細印刷に独自の技術をもつベンチャー企業、SIJ テクノロジ社(本社:茨城県つくば市、村田和広社長)のインクジェット印刷装置「Super Inkjet Printer」を用いて、「PicosilR」による線幅1.5μm という超細線の描画に成功した。

(2)また、一般家庭のインクジェット印刷機や、OA 機器・産業用途で広く用いられるピエゾタイプヘッドのインクジェット装置を用いて、線幅30μm 以下の描画に成功した。ピエゾタイプヘッドのインクジェット装置による銀ナノインクの描画は、これまで線幅60μm 程度が限界とされてきた。

今回の超細線描画により、線幅1.5μm という人間が認識できないレベルの配線を付与することができることから、透明性を保ったまま、透明導電層のより低抵抗化を可能にする。

今後は透明ヒーターの熱線への活用など「Picosil」のさらなる用途拡大につなげていく方針だ。

なお、12月9日~11日、東京ビッグサイト(東京・江東区)で開催される展示会「ASTEC2021 第16 回先端表面技術展・会議」に、SIJ テクノロジ社が同装置を出展する


■銀ナノインクとは :
銀ナノインクとは、ナノメートルのサイズに制御した銀粒子をインク化したもので、主にプリンテッドエレクトロニクスに使用される。ダイセルの銀ナノインク「Picosil」は、低温・短時間での焼成が可能で、形成される銀導電膜の体積抵抗率が低く、通常は難しいプラスチック基板にも描画できる特長を有する。


ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1607402244.pdf