2020年12月15日
九大「PM2.5削減とCO2濃度増加で温暖化進む」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:九州大学

地球温暖化対策として、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出削減が求められているが、一方で、人間活動により排出されるPM2.5の主要物質である硫酸塩エアロゾルには大気を冷却する効果があるため、PM2.5は温室効果ガスによる地球温暖化をいくらか抑えてきたことがわかっている。

九州大学応用力学研究所の竹村俊彦主幹教授はこのほど、自ら開発したエアロゾル(微粒子)による気候変化計算のソフトウェア(MIROC-SPRINTARS)を用いて、近い将来に想定される硫酸塩エアロゾル濃度の低下に伴う気温上昇について予測した。

その結果、同量の硫酸塩エアロゾル濃度の低下であっても、それに伴う気温上昇は、CO2濃度が高い状態の方が大きくなることを明らかにした。

このことは、大気汚染対策の観点からPM2.5濃度を下げる場合、同時に温室効果ガスの濃度上昇を抑制しなければ、地球温暖化が加速度的に進行することを示している。

なお、同研究で利用したSPRINTARSは、多くの報道機関が日々利用しているPM2.5予測情報を提供するソフトウェアとして知られている。

同研究は、日本学術振興会科学研究費補助金・基盤研究S(JP19H05669)及び環境再生保全機構環境研究総合推進費の助成を受けて行った。

本研究成果は、国際学術誌「Scientific Reports」に2020年12月10日付で掲載された。