2020年12月16日
富士フィルム、世界最大容量の磁気テープ技術 開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:富士フイルム

富士フイルムは16日、新たな磁性体として「ストロンチウムフェライト(SrFe)磁性体」を採用した磁気テープの実走行試験をIBM Researchと共同で行い、塗布型磁気テープとして世界最高の面記録密度317Gbpsi(ギガビット毎平方インチ)でのデータ記録・再生を実証したと発表した。

これは、1巻あたりの記録容量が従来比約50倍となる世界最大容量580TB(テラバイト)データカートリッジの実現を可能とする技術。580TBの容量とは、例えばDVD約12万枚分相当のデータが保存可能となる。

SrFeは、磁気特性が非常に高く、微粒子化しても安定して高い性能を維持できる磁性材料で、モーター用磁石の原料などとして広く使われている。

今回、同社独自の技術で、塗布型磁気テープストレージメディアの磁性体として活用できる超微小な「SrFe磁性体」の開発に成功した。

同社は「SrFe磁性体」を、現在磁気テープストレージメディアに採用しているバリウムフェライト(BaFe)磁性体の次の磁性体として、実用化に向けた研究開発を進める。

今回の試験で用いた磁気テープは、同社の従来の塗布設備で生産しており、実用化にあたって既存設備の応用が見込めることから、今後は量産化も視野に開発に取り組む。