2021年01月20日
富士フ、自社創製細胞でヒトノロウイルス 増殖
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:富士フイルム

富士フイルムは20日、自社創薬支援用細胞であるヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞「F-hiSIEC」を用いて、ヒトノロウイルスの増殖に成功したと発表した。

ヒトノロウイルスに対する医薬品候補の有効性検証への応用につながり、ノロウイルス感染症に対する治療薬・ワクチンの開発に貢献するとしている。

ヒトノロウイルスは、手指や食品などを介してヒトに感染し腸管で増殖することで、嘔吐や下痢、腹痛などを引き起こす。国内ではヒトノロウイルスを原因とする食中毒の発生頻度が最も高く、また海外でも発展途上国を中心に同ウイルスによる食中毒が多く発生している。

だが、ノロウイルス感染症に対する有効な治療薬・ワクチンはない。その要因の1つとして、ヒトノロウイルスに対する医薬品候補の有効性検証方法が確立されていないことがあげられている。

検証方法を確立するには、まず有効なヒトノロウイルスが必要で、体外で同ウイルスを増殖させる手法の開発が進められている。

「F-hiSIEC」は、富士フィルムが保有する世界トップレベルのiPS細胞関連技術と、名古屋市立大学 大学院薬学研究科 松永民秀教授が確立した腸管上皮細胞への分化誘導技術を組み合わせて開発した、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞。今後、さらに応用可能性を追求するため、「F-hiSIEC」を活用したヒトノロウイルス増殖に関する研究を進めることにしている。


ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1611109137.pdf