2021年02月04日
名大 イネの収量を増加させる画期的な技術開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:名古屋大学

名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所の木下俊則教授らの研究グループはこのほど、イネの1つの遺伝子(細胞膜プロトンポンプ)を増加させることで、根の養分吸収と気孔開口を同時に高める技術を開発し、野外水田でのイネの収量を30%以上増加させることに成功したと発表した。

細胞膜プロトンポンプの発現を高めたイネの過剰発現体において、根における養分吸収、気孔開口、光合成、成長が促進されることを世界で初めて証明した。

研究グループはまず、根の養分吸収と気孔開口について、細胞膜プロトンポンプが共通して重要な役割を果たすことをつかんだ。そこで、1つの細胞膜プロトンポンプ遺伝子の発現を高めた過剰発現イネを作出したところ、根の窒素養分吸収が20%以上、光合成活性が25%以上高まり、4カ所の異なった野外の隔離水田圃場における収量評価試験でイネの収量が30%以上増加することが明らかとなった。

本研究成果は、根における養分吸収と気孔開口を同時に高める画期的な技術で、今後さまざまな実用作物に応用できそうだ。肥料消費量の削減にもつながると期待できる。

同研究成果は、2月2日に国際科学誌「Nature Communications」にオンライン公開される。


ニュースリリース参照
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20210202/pdf/20210202.pdf