2021年03月10日
北大、液体に浸すだけで検出可能な紙製チップ開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

北海道大学大学院 総合化学院の渡慶次学教授らの研究グループは、液体試料に浸漬するだけで成分濃度の測定ができるペーパー分析デバイスを開発したと発表した。

この検査チップは、3センチ四方のろ紙に水をはじく性質を有するインクで印刷して作製された小型・軽量・薄型の分析デバイス。ろ紙は特定領域がインクで囲まれ、流路の役割を果たす。流路の一端に浸漬エリアがあり、これを液体試料に浸漬すると毛細管現象によって流路に沿って流れる。流路の途中には、成分を検出する専用試薬が染み込んでおり、試料液が到達すると反応が起きて成分濃度に応じて発色する仕組みとなっている。

このような検査チップは、世界中で研究が行われているが、ほとんどは極微量の液体試料を正確に採取して分析デバイスに導入する必要があり、高価なピペットと操作する技術が必要なため、簡単に利用しにくい。

今回、研究グループは流路のデザインを検討し,ピペットによる試料導入が不要かつ簡便で、誰でもどこでも成分濃度を測定できる安価なペーパー分析デバイスを開発した。検出試薬は自由に選択できる。医療診断や食品・環境検査だけでなく、ニューノーマル時代の新たな教育ツールになるとも期待される。

なお、研究成果は3月4日公開のACS Sensors誌にオンライン公開された。