2021年03月12日
東大「結晶格子の運動をピコメートル精度で追跡」成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東京大学

産総研は、東京大学と高輝度光科学研究センターとの共同研究グループが、大型放射光施設(SPring-8 )を使い、回折X線ブリンキング法を用いて、X線光化学反応中に急速に変化するハロゲン化銀、および生成された金属銀の結晶1粒子の超微細構造の動的変化(ダイナミクス)の測定に世界で初めて成功したと発表した。


多結晶材料の構造は、これまでX線回折測定を利用して数百万個におよぶ粒子集合体の平均的な性質を調べて行われてきた。だが機能発現に伴う材料物質の環境や界面構造、構造的特徴に関連した微結晶粒子の「動き」を直接観測することはできなかった。

共同研究グループは今回、ハロゲン化銀および金属銀の時分割X線回折像から、X線回折輝点の動きが個々の結晶粒子の傾斜(倒れこみ)運動・回転運動、格子構造変化を表すことを実証した。

さらに、これら物理特性を反映した回折強度の時間変化について、独自に考案した1ピクセル(画素)自己相関解析法(Single-pixel Autocorrelation Function : sp-ACF )による粒子運動分析を行ったところ、熱処理前後のハロゲン化銀および金属銀において、明確な運動の差を検出した。

多結晶材料の局所的構造ダイナミクスを特徴づける新しい計測手法を実現した。

同研究成果は、Nature「Scientific Reports」のオンライン速報版で3月5日にオンライン公開された。