2021年03月19日
理研、白血病の“弱点”突き止め成功、治療へ一歩
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理化学研究所 生命医科学研究センターの石川文彦チームリーダーらの共同研究グループは19日、白血病ヒト化マウスを用いて、白血病細胞の“弱点”であるタンパク質の阻害剤を投与することで、白血病細胞を効果的に死滅させる方法を突き止めたと発表した。

現在の治療法では治癒が困難とされる白血病の個々の患者に最適な治療を届け、治癒に導く可能性のある成果としている。

悪性度の高い急性骨髄性白血病は、患者ごとに異なる複数の遺伝子異常が生じるため、複雑な病状を抑え込む治療開発が難しい。

今回、共同研究グループは、正常な血液と比べて、白血病細胞に多く存在する遺伝子を特定し、その機能を停止させ、患者の白血病細胞が死滅するかどうかを調べた。

その結果、IAP、BCL2など5つのタンパク質が白血病細胞にとって“弱点”であることが分かった。
次に、各患者の白血病状態を再現した「白血病ヒト化マウス」を用いて、これらのタンパク質の機能を停止させる阻害剤を投与することで、骨髄・脾臓・血液中に存在する白血病細胞が効果的に死滅することを実証した。


今後、急性骨髄性白血病以外の血液疾患や、さまざまな臓器に発生する固形がんの理解と克服にも応用・展開されることが期待されるとしている。

同研究成果は、科学雑誌「Nature Cancer」オンライン版(日本時間3月19日)に掲載される。


ニュースリリース参照
https://www.riken.jp/press/2021/20210319_1/index.html