2021年03月19日
北大など「下水中のウイルス自動解析体制」構築
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学は19日、下水中の新型コロナウイルスの自動解析体制構築に向けて、専門技術を持つロボティック・バイオロジー・インスティテュート(=RBI:東京都江東区)、 iLAC(茨城県つくば市)および塩野義製薬の4者間で協働のための基本合意書を締結したと発表した。

 下水疫学に基づき、ウイルス感染症流行および変異株の侵入・発生動向を早期に検知し 大量検査の実施が可能な自動解析体制の構築をめざす。

 新型コロナウイルスは、腸管上皮細胞に感染して増殖することが示唆されており、胃腸炎症状を呈さない感染者の糞便中からも高い割合で検出されている。感染者から排出されたウイルスは下水処理場に集積するため、下水中のウイルスを定期的にモニタリングする「下水疫学調査」の研究が各国で加速している。

 日本はアメリカや欧州と比べて、人口当たりのコロナ感染者数が少ない。下水中のウイルス濃度も低いため、モニタリングするにはより高感度の検出法が求められる。

 北大と塩野義薬は、これまでの共同研究により下水からの高感度ウイルス検出法を開発済み。だが、下水疫学調査の実施には、採取した下水の測定結果が早く得られるハイスループットな解析体制が必要となる。

 このため国産汎用 ヒト型ロボット技術を持つRBIと、ゲノム解析技術を有する iLACを加えた4者体制を構築し 社会実装に向けて協働することで一致した。今年4月から分析業務を開始する。