2021年03月22日
京大、タンパク質間相互作用の不可逆阻害に成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

京都大学 大学院工学研究科の浜地格 教授らの研究グループは19日、がんの発生に関与するタンパク質間相互作用を強力に阻害する不可逆阻害剤を新たに開発したと発表した。

米国の国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」(3月18日付)にオンライン掲載された。

タンパク質の多くは生体内で他のたんぱく質と相互作用しながらそれぞれ機能を発揮している。タンパク質間相互作用(PPI)を制御できる小分子阻害剤は、生命現象の理解に有用。だが、一般に広く浅いPPI表面に小分子阻害剤は強く結合できないため開発が難しく、また薬効が低いという課題があった。

研究グループは今回、N-アシル-N-アルキルスルホンアミド(NASA)と呼ばれる反応基を阻害剤分子に組み込むことで、「一度くっついたら離れない」PPI不可逆阻害剤の開発に成功した。

がん化に関与するPPIとして重要な HDM2 (human double minute2)-p53相互作用を標的としてNASA型不可逆阻害剤を開発し、その薬効が従来の阻害剤よりも強力かつ長時間持続することを実証した。

NASA反応基は他のさまざまな種類の阻害剤設計に適用可能であり、今後、PPI不可逆阻害剤開発のための一般性の高い戦略として創薬研究を加速することが期待される。


ニュースリリース参照
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20210319/pdf/20210319.pdf