2021年03月31日
理研、スプライシング調節化合物の新たな作用発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所 ケミカルゲノミクス研究グループの吉田稔ディレクターらの研究グループは30日、スプライシング調節化合物の「スプライソスタチンA(SSA)」が、細胞内のRNAに未成熟切断とポリA付加(アデノシンが複数連続した配列の付加)を引き起こすことを発見したと発表した。

スプライシングとは、DNAから写しとった遺伝子情報の中から不要な部分を取り除く分子的な編集作業のこと。

同研究は、抗がん作用のあるSSAをはじめとするスプライシング調節化合物の作用機序の解明や、非コードRNAの新機能の解明に貢献すると期待できる。

SSAはスプライシングに必要なSF3b複合体と結合し、スプライシングを阻害し前駆体メッセンジャーRNA(mRNA)の蓄積を引き起こす。

今回、共同研究グループは、トランスクリプトーム解析を行い、SSAがスプライシングの阻害に加えて、長鎖非コードRNAである「MALAT1」と一部のmRNAに未成熟切断およびポリA付加を引き起こすことを発見した。

本研究は、科学雑誌「Cell Chemical Biology」掲載に先立ち、オンライン版(3月30日)に掲載される。


<用語の解説>
◆非コードRNA
ゲノムから転写されるRNAには、タンパク質合成の鋳型となるmRNAに対して、そのような鋳型となる領域を含まないRNAがあり、これを非コード(ノンコーディング)RNAと呼ぶ。


理化学研究所ホームページ:
https://www.riken.jp/press/2021/20210330_1/index.html