2021年04月02日
九大、世界初「水頭症」発症遺伝子を解明
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 九州大学基幹教育院の太田訓正教授の研究グループは、熊本大学をはじめ国内外の12大学、5研究所との共同研究により、自らが単離・命名したTsukushi遺伝子が、水頭症の発症に関与していることを世界で初めて明らかにしたと発表した。 

 水頭症は、脳室が拡大して、脳室内での脳脊髄液が停滞し、頭蓋骨内の圧力が高まることにより発症する難病指定の疾患。特に、特発性正常圧水頭症は、歩行障害・精神疾患・尿失禁などの症状を呈し、高齢化社会を迎える日本で患者数が増加傾向にあるが、その発症要因が不明であることから、新規予防・治療薬の開発が急がれている。今回、水頭症発症のメカニズム解明につながる重要な研究結果を得た。

 Tsukushi遺伝子欠損マウスでは、水頭症患者と同様に脳室が拡大するが、脳室にTsukushiタンパク質を投与すると脳室の拡大が抑制された。また、行動解析を行ったところ、Tsukushi遺伝子欠損マウスは、歩行困難を伴い、不安様行動を示した。さらに、原因不明の水頭症患者のTsukushi遺伝子配列を調べたところ、3箇所のアミノ酸置換変異が観察された。今後の水頭症診断と新たな治療法の開発に繋がることが期待される。

 同研究成果は、4月1日(日本時間)に科学雑誌「Science Translational Medicine」で公開された。