2021年04月08日
京大、新型コロナ感染を抑制する生体内因子発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

新型コロナウイルス(SARS- CoV-2)が効率よく感染するためには、ウイルスのスパイクタンパク質が、ヒトの細胞上にある酵素の一つであるタンパク質分解酵素 TMPRSS2 で切断(開裂)されなければならない。 TMPRSS2 の活性は新型コロナウイルスの感染にとって非常に重要になる。だが TMPRSS2 の生理的な活性制御や SARS-CoV- 2 感染との関連については、よくわかっていなかった。

京都大学ウイルス・再生医科学研究所の橋口隆生教授らの研究グループは8日、国立感染症研究所、宮崎大学および北海道大学とともに、生体内タンパク質分解酵素 に対する生理的阻害物質 HAI-2 が 新型コロナウイルスの感染抑制因子であることを発見したと発表した。

HAI 2 を培養液に添加すると コロナ年ウイルスの感染が阻害された。また siRNA 法で肺上皮細胞株の HAI-2 の発現量を減らすと、ウイルス感染が促進された。このことは HAI-2 が SARS-CoV-2 を生理的にも抑えている可能性を示している。 HAI-2 の研究は、 SARS- CoV- 2 感染症( COVID-19 )の病態解明のみならず創薬ターゲットとしても重要と考えられる。

同研究成果は、3月31日に国際学術誌「 Journal of Virology 」にオンライン掲載された 。


ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/210408_pr.pdf