2021年05月14日
北大、安全な触媒で高分子材料の合成法確立
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:北海道大学

北海道大学大学院の佐藤敏文教授(工学研究院)らの研究グループは13日、環境や人体に安心・安全な触媒を用いて、三次元構造・配列を制御したポリエステル系ブロック共重合体の簡便合成法の確立に成功したと発表した。

性質の異なる複数の高分子から構成されるブロック共重合体は、その組み合わせや組成比、さらにはトポロジカルな構造に応じて単一成分の高分子では実現できない物性や機能を発現でき、多くの分野で機能性素材として活用されている。

だがブロック共重合体の合成には、多くの手順がかかる上、大量の化学物質を添加するため、人体や環境への負荷が問題視されている。実用化に向けて、簡便かつ環境にやさしい合成法の確立が求められてきた。

研究グループは今回、アルカリ金属カルボン酸塩を触媒とすることで生分解性高分子から構成されるポリエステル系ブロック共重合体を、無溶媒かつワンステップで合成できることを発見した。触媒に用いたアルカリ金属カルボン酸塩は、食品添加物として使用されるほど安全であり、従来の有機金属触媒を用いた場合に比べて、より安全で便利といえる。

また、この合成法によって得られたブロック共重合体は、エラストマーや接着剤として応用できる。今回の発見は今後、環境低負荷かつ高機能な高分子材料の開発加速に貢献すると期待される。

同研究成果は、5月2日公開の「ACS Catalysis」誌にオンライン掲載された。