2021年06月03日
九大、天然酵素の高機能酵素への変換に成功
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 九州大学大学院 理学研究院の川畑俊一郎主幹教授らの研究グループは3日、生化学工業(本社:東京都千代田区、水谷建社長)との共同研究により、ProBを構成するアミノ酸の1個を他のアミノ酸に置換した組換えタンパク質の調製に成功したと発表した。解析の結果、活性型B-murasameは天然の活性型Bと比較して約10倍も強く連鎖反応を引き起こすことが判明した。

 大腸菌などの菌体成分であるリポ多糖(LPS)は、ヒトの傷口から混入すると発熱や致死性ショックを引き起こす危険な物質で内毒素とも呼ばれている。一方、カブトガニの体内にLPSが混入すると、血球に貯蔵されている3種の凝固因子の前駆体が分泌されて活性型酵素となり、それらの酵素による連鎖反応により血液は凝固する。
 
 カブトガニ血球抽出液は、注射薬などの医薬品に混入するLPS検出試薬として利用されている。また、生化学工業との共同研究により、凝固因子の天然型組換えタンパク質を応用したLPS検出試薬が製品化されている。
 
 同研究成果は5月14日、国際学術誌「The Journal of Biochemistry」オンライン版に掲載された。