2021年06月04日
産総研、海底生態系の機能回復メカニズム発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所

産総研の環境生理生態堀知行主任研究員らのグループは3日、専修大学 東京農工大学と共同で、津波によって打ち上げられた堆積物から、海底生態系の機能回復のメカニズムを解明したと発表した。東日本大震災の津波で打ち上げられた海底堆積物を試料に、硫黄成分のやり取りに関わる細菌同士の協力関係(パートナーシップ)を明らかにし、海底の嫌気生態系が持つ有機物の分解機能が回復していく過程を解明した。

海底に堆積した有機物層は、上層のごく一部分を除いて酸素が枯渇しているため、嫌気性微生物が有機物の分解を担っている。しかし、過剰な有機物の流入が原因で、嫌気生態系が十分に機能せず、海底環境が悪化することがある。

今回の研究によって、分解機能が低下した海底堆積物に硝酸塩を添加することで、硫黄酸化細菌と硫酸還元細菌の間で炭素源の伝達を介した協力関係が形成され、その結果生じる多様な嫌気分解微生物の活性化を明らかにした。

今回の成果は、海底堆積物の嫌気生態系機能が回復する過程を初めて解明したことで、沿岸域海底の新しい保全・管理技術の確立に大きく貢献することが期待される。

同研究の詳細は、6月3日に国際学術誌「Environmental Science & Technology」にオンライン掲載された。


<用語の解説>

◆嫌気生態系とは :
生育に酸素を必要としない嫌気性微生物で主に構成されている生態系。地球上では、ほとんどが嫌気環境であり、好気環境は大気と接触する範囲および水に酸素が浸透する範囲に限られる。


産総研ホームページ :
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2021/pr20210603/pr20210603.html