2021年06月10日
昭電、シ-ゲイト社と次世代記録技術 共同開発
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:昭和電工

 昭和電工は10日、Seagate Singapore International Headquarters Pte. Ltd. (シーゲイト社) との間で、ハードディスクドライブ(HDD)の次世代記録技術である熱アシスト磁気記録(HAMR)に対応した、次世代ハードディスクメディアを共同開発するための契約を締結したと発表した。

 昭電は、HAMR に対応した技術として、従来のハードディスクメディアでは実現困難とみられていた FePt 合金の超高温規則化温度を実現し量産を可能とするメディア製造技術にめどをつけて、FePt 新磁性体を開発した。

 Seagate 社は、HDD 業界で HAMR 対応HDD の技術開発を長年リードしてきた実績を有する。今回契約に基づき、今後は昭電の FePt 新磁性体およびSeagate 社と共同開発する同磁性体について評価する。さらに協業により、両社の関連技術の開発スピード加速を図る。

 第5世代移動通信(5G)のサービス開始やIoTの普及、テレワークの浸透、DXの進展・拡大などにより、データ量の飛躍的増が見込まれている。それに伴いそれらのデータを保管するデータセンター向けHDD は1 台当たりの記憶容量の増大がこれまで以上に重要な課題となる。

 昭電は引き続き世界最大のHDメディア専業メーカーとして、HAMR、MAMR(マイクロ波アシスト記録方式)などの次世代記録技術に対応した高品位製品をいち早く市場投入していく方針だ。


<用語の解説>

◆FePt 新磁性体 :HDD の高記録密度化を実現するためには、HD メディアの記録ビットの微細化が必要だが、微細化することで保磁力が減少するため、磁化(記録した情報)が熱的に不安定になる。FePt 合金は、現在HDD 用の記録媒体として用いられる CoCr(コバルト・クロム)系合金に比べて保磁力が大きく、化学的安定性にも優れているため、次世代デバイスの材料として注目されている。


<ニュースリリース参照>
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1623312017.pdf