2021年06月24日
ダイセル、世界初・蛍光ナノダイヤモンド開発
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 ダイセルは24日 1桁 nm サイズのナノダイヤモンド構造の中にSiV(Silicon-Vacancy) センターを有する蛍光ナノダイヤモンド(SiV-ND)の生成に世界で初めて成功したと発表した。

 カラーセンターと呼ばれる特異な構造を結晶内に導入したnm サイズのダイヤモンド (ナノダイヤモンド:ND) は、細胞導入可能な極めて小さいサイズかつ生体適合性の高さ、そして蛍光発光特性から優れた蛍光プローブとして注目されている。

 なかでも SiV センターは生体細胞に吸収されにくい近赤外光で励起され、同じく近赤外光 (中心波長 738nm) に鋭く安定した蛍光発光を示すことからバイオセンシング技術を発展させる材料として期待されている。

 このため、これまで SiV センターを有する SiV-ND の合成手法の開発は盛んに行われてきたが、大量に生産する方法は確立されていなかった。

 同社はナノダイヤモンドを高効率で生成できる爆轟法に注目し、2014年に播磨工場(兵庫県)に試験設備を建設し、新規爆轟法ナノダイヤモンドの創出に向けた研究に着手した。
 
 この取り組みを機に大阪大学、熊本大学、京都大学と提携してさらに研究開発を進め、今回同社の爆轟技術により 738 nm を中心とした SiV センター固有の蛍光発光スペクトルを示す平均粒子径が約 7nm の SiV-ND を世界で初めて得ることに成功した。

 同成果は、学術誌 Diamond & Related Materials 誌に掲載された。


<用語の解説>

◆SiV(Silicon-Vacancy) センターとは :ダイヤモンド結晶格子中の炭素原子2個がシリコン原子1個で置き換えられた構造。

◆爆轟法とは :爆薬を構成する炭素を原料とし、それを起爆させた際に放出されるエネルギーを使って、瞬時に大量のナノダイヤモンドを生産する方法。


ニュースリリース参照

世界初、1桁nmサイズのSiV蛍光ナノダイヤモンドを開発

https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1624522415.pdf