2021年06月30日
富士フ、バイオ医薬品で欧米に900億円投資
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:富士フイルム

 富士フイルムは29日、バイオ医薬品の開発・製造受託事業をさらに拡大するため、バイオ医薬品CDMOの中核会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(FDB)の欧米拠点に、総額約900億円の大型設備投資を行い、需要増加中の新型コロナウイルス感染症ワクチンや、最先端医療分野の遺伝子治療薬などのバイオ医薬品の原薬生産能力を大幅に向上させると発表した。増強設備は2023年後半、稼働開始の予定。

 同社は、米国にあるFDBの既存拠点に、シングルユース仕様の2,000リットル細胞培養タンクなどを導入し、米国における遺伝子組換えタンパクワクチンの原薬製造能力を、現在の約2倍に拡大する。新型コロナウイルスワクチンだけでなく、最先端医療分野の遺伝子治療薬などの受託ニーズに応える。

 英国拠点では、遺伝子治療薬のプロセス開発・原薬製造が可能な新棟を建設し、同拠点内の原薬生産能力を現行の10倍以上に拡大する。さらに新棟のスペースを利用して、連続生産システムによるGMP製造が可能な設備を導入し、商業生産していく。

 富士フイルムは、2011年にバイオ医薬品の開発・製造受託市場に参入し、事業成長加速のために、昨年から今年にかけて20,000リットル細胞培養タンクの増設や、大型製造拠点の新設を行ってきた。M&Aも含めたこれまでのバイオCDMO事業における総投資金額は今回分も含めて約6,000億円となる。

<用語の解説>

◆CDMO : Contract Development & Manufacturing Organization の略。薬剤開発初期の細胞株開発から生産プロセス開発、安定性試験、治験薬の開発・製造、市販薬の製造までの幅広いサービスを製薬企業などに提供する。

◆シングルユース : 培養タンクの内側にプラスチック製のバックを用いる仕様。バックを交換することで洗浄・滅菌の工程が省かれ、異物の混入などのリスクも低減できるなどのメリットがある。

<ニュースリリース参照>
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1625043541.pdf