2021年07月13日
三洋化成、長瀬産業と「匂いセンサー」共同事業化
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三洋化成

 三洋化成工業と長瀬産業は13日、AI 技術を応用した人工嗅覚で匂いを識別する「匂いセンサー」について共同事業化を検討することで合意したと発表した。

 匂いの検知材料に先端AI 技術を融合し、特定の匂いをデジタルで識別、定量化するデジタル嗅覚技術は、医療分野や食品・飲料などの生活関連分野での応用が期待されている。その市場規模も2017年約3,200 億ドル、2026年までに3 兆1,200 億ドルに成長すると予測されている。

 同社が検討中の「匂いセンサー」は、プローブ(人間の嗅覚細胞に相当する物質)に香り分子が吸着することによる電気抵抗の変化で匂いを検知する方式で、機械学習を通じてAIが様々な匂いの香り分子の組み合わせパターンを検知する。界面制御技術を織り込んだ樹脂材料で構成されているのが特徴で、その組み合わせにより複雑な香り分子を識別することが可能となる

 事業化にあたり、三洋化成は、界面活性剤および機能性高分子に関する技術と知見を活かし、独自の組成設計に基づいた樹脂材料により、多様な匂いの識別を可能にする高精度なプローブの組み合わせの提案を行う。長瀬産業は、プローブから得られたデータ処理を含むセンサーシステムの上位設計と、顧客ニーズに沿った分析結果を提供する新規DX ビジネスの構築を目指す。

 「匂いセンサー」の事業化に向けては、まずは日本酒の醸造工程における品質管理と、香り成分の管理・計測や分析を通じた新商品開発への活用を目指す。その後は食品、医療、香粧品や工場での環境対応などの様々な市場にマーケティングを推進していく方針だ。

■「匂いセンサー」で酒造メーカーと共同研究
 三洋化成工業は13日、AI 技術を応用した「匂いセンサー」の活用で、日本酒メーカーの都鶴酒造(本社:京都市伏見区、内田浩司社長)と共同研究を行うと発表した。(記事:別掲)

 
ニュースリリース

三洋化成と長瀬産業が共同で「匂いセンサー」事業化
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1626141043.pdf

三洋化成と都鶴酒造が共同研究を開始
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1626141043.pdf