2002年03月14日
日石三菱が液晶フィルム事業強化に意欲、早くも「海外展開」視野
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:シャープ、住友化学、セイコーエプソン

 情報化社会の進展とともに、液晶ディスプレイ市場は内外ともに拡大が続いているが、100%出資会社「日石液晶フィルム」の設立を発表した日石三菱は、同社のLCフィルムを“戦略商品”と位置づけ、今後積極的に事業拡大を図っていく方針だ。
 
 「LCフィルム」事業は、日石化学が1995年から手がけてきたが、昨年11月、日石三菱内に新商品事業部が発足すると同時に日石化学から事業移管し、販売強化に乗り出した。
 
 事業は好調のようで、とくに韓国、中国、台湾、欧州などカラー携帯電話の普及がはじまった海外向けに期待が大きい。2005年度の売上げ規模数十億円を見込んでいるが、「その頃には辰野工場の生産能力がいっぱいになる」と海外進出も視野に入れた展開を考えているという。
 
 これまで同事業は、日石化学(川崎工場)が原料ポリマーを生産し、日石化学の子会社・日石液晶(辰野工場)がフィルム加工したあと、偏光板を製造している住友化学に販売。住化は自社の偏光板にこのLCフィルムを何層か貼り合わせ、LCD(液晶ディスプレイ)メーカーであるシャープやセイコーエプソンなどに納入してきた。今後は日石三菱が直接フィルムを製造し、製販一体の管理、運営を行っていくことになる。
 
 フィルムといっても技術は高度だ。LCフィルムの場合、表面に保護膜を塗布するが、それでも厚みは95μm。これに偏光板を貼り合わせても、わずかに330μm、つまり0.33ミリしかないという薄さだ。

 用途は、これまでは携帯電話向けが中心だったが,最近はビデオカメラ、カーナビなど多方面に広がりつつある。このため日石三菱ではフィルムの性能に特徴をもたせ、これらの用途に対応してきた。現在フィルムは次の3種類ある。
 
(1)位相差フィルム=ポリマーの分子の向きが層内200度前後でらせん状にねじれた状態になっている。画像が明るく見やすい。携帯電話、PAD(携帯情報端末)、電子辞書など。
(2)視野角拡大フィルム=ポリマー分子に向きが、一方の界面では立った状態に立っている。広い角度からゆがみなく見られる。デジタルカメラ、VTR、カーナビなど。
(3)コレステリックフィルム=ポリマーの分子の向きが、層内で数回転ねじれた状態になっている。メタリックカラー向き。携帯電話の押しボタン、時計文字盤など。
 
 競争は激しいが、期待も大きいようで「ガソリンとは売り方も異なが、付加価値は高い。やり甲斐がある」(湯原尚一郎LCフィルム事業室長)と言っている。