2021年08月26日
北大、ミトコンドリアを狙い撃ち、癌光治療法開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院 薬学研究院の原島秀吉教授らの研究グループは、光増感分子(Photosensitizer,PS)を搭載したミトコンドリア標的型ナノカプセルの構築に成功し、ヒト由来の癌を担持するマウスを用いた実験で「ミトコンドリアを狙い撃ちする癌光治療戦略」の有用性を示すことに成功したと発表した。

 癌光治療は、患部切除を行わずに選択部位の癌組織を死滅させるため、患者の身体的負担が少ない治療法として期待されている。一方、殺しきれなかった癌細胞が増殖する耐性癌発生リスクがあり、それを解決する治療法の開発が望まれていた。
 
 研究グループは今回、癌細胞の“エネルギー工場”である、ミトコンドリアを破壊する、新たな癌光治療の検証を試みた。光照射によってミトコンドリア内で活性酸素発生を誘導するPS(rTPA)をミトコンドリア型ナノカプセルを用いてヒト舌癌細胞(SAS cell)のミトコンドリアへ送達した。SAS cellを皮下移植した担癌モデルマウスを作成・評価した結果、癌の増殖を著しく抑制する治療効果を観察した。

 今後、ミトコンドリアを狙った薬剤耐性癌の新しい治療法の開発につながると期待される。
 同研究成果は8月21日付の「Nanoscale Advances」誌に掲載された。


ニュースリリース参照

https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/210824_pr.pdf