2021年09月02日
東北大、宇宙無重力下での「からだ」調節機構発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 無重力では宇宙飛行士の骨や筋肉が急速に萎縮することが知られている。一昨年、NASAから報告された双子の宇宙飛行士の研究では、無重力における遺伝子発現の変化とともに、エピジェネティックな変化を調べる試みもなされたが、結論には至っていない。

 東北大学大学院の東谷篤志教授(生命科学研究科)らのグループは2日、宇宙航空研究開発機構 (JAXA)との共同研究により、宇宙で育てたモデル生物線虫において、無重力環境に応じたエピジェネティックな変化を再現性良く発見したと発表した。
 
 からだの成長を負に制御する新規DUF-19遺伝子群において、遺伝子発現量の変化と染色体ヒストンの修飾を介したエピジェネティックな変化が再現性良く連動し、無重力下でHDA-4の働きによってからだつくりが過剰に抑制されないように調節する機構が存在することをはじめて明らかにした。
 
 同研究成果は、宇宙の無重力下で成長する際にエピジェネティックな変化が生じることを初めて明らかにした報告となる。

この成果は(9月1日の)ネイチャー「Microgravity」誌(電子版)に掲載された。

<用語の解説>
◆エピジェネティックな変化とは :遺伝子DNAの塩基配列を変えることなく、遺伝子の働きを染色体ヒストンの修飾やDNAのメチル化などによって変化させる仕組み。近年では、がんや代謝疾患、免疫疾患など様々な病気や環境要因によってエピジェネティックな変化が生じることも報告されている。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/09/press20210902-01-space.html