2021年09月07日
北大、豪雨と雷頻度の違いをシュミレーション
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学 大学院の佐藤陽祐特任准教授(理学研究院)らの研究グループは6日、気象庁と共同で日本で発生した二つの豪雨に伴う雷頻度の違いを数値シミュレーションで再現することに初めて成功し、二つの豪雨の雷頻度の違いをもたらす原因を明らかにしたと発表した。

 これまではスーパーコンピュータを用いた数値シミュレーションでも、雷の頻度や特性について調べることは困難で、豪雨という状況は同じでも雷が鳴る頻度が異なる理由までは解明できなかった。

 研究グループは今回、独自に開発した雷を直接計算する気象モデル「気象雷モデル」と、スーパーコンピュータ「富岳」を用いて、雷を直接扱った数値シミュレーションを行った。

 この結果、日本で発生した2つの豪雨(2017年九州北部豪雨、2018年西日本豪雨)と、豪雨に伴って起こる雷を再現することに成功した。さらにこの2つの豪雨で雷頻度が大きく異なる原因が、豪雨をもたらした積乱雲の背の高さの違いと、それに伴って雲内の霰の量と霰が分布する高さが異なっていることに起因することを明らかにした。
 
 このような数値シミュレーションは世界トップの計算能力をもつ「富岳」を使うことで初めて可能になった。

 現在の天気予報は、雷は扱っていないが、近い将来に雷予報を含めた天気予報へと広がる足がかりとなり、雷予測の精度向上に貢献すると期待される。

 同研究成果は8月31日公開の「Atmospheric Science Letter」誌に掲載された。


ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/2021/09/post-898.html