2021年09月08日
三菱商事、シェルとカナダでの水素製造で覚書
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱商事

 三菱商事は8日、Shell Canada(シェル)と、カナダ アルバータ州エドモントン市近郊における、CCS(二酸化炭素回収・貯留技術)を活用した水素製造に係る覚書を締結したと発表した。

 これに基づき三菱商事は、シェルがエドモントン市近郊のスコットフォードに保有する化学工場隣接地に水素製造設備を建設する。第1フェーズとして、2020年代後半に、年間約16万5千トンの水素を製造し、輸送効率の良いアンモニアに転換後、日本市場への輸出を目指す。
 
 水素の製造過程で発生する二酸化炭素は、シェルがアルバータ州で検討・開発中のポラリスCCSプロジェクトにて地下貯留する計画。シェルのポラリスCCSプロジェクトは、年間1千万トン以上の二酸化炭素を貯留するCCSにするため、アルバータ州政府からの貯留権取得を目指す。

 カナダ政府は昨年、水素戦略を公表し、2050年ネットゼロ排出に向けて、水素は重要なエネルギー源であると位置付け、カナダを水素の主要輸出国でかつ水素技術のグローバルリーダーとする目標を掲げた。候補地のエドモントン市近郊は、今年、カナダ初の水素ハブに指定された。同地は、水素の原料となる天然ガス資源が豊富で、かつ地下には二酸化炭素の充分な貯留容量も確認されている。

 日本への輸入にあたっては、水素を運搬が容易なアンモニアに転換するが、アンモニアは既に肥料や各種化学品の原料として、運搬・貯蔵等の流通体制が確立されている。三菱商事は、これまでの知見を活かし、水素・アンモニアのサプライチェーン構築に貢献していく方針だ。