2021年09月09日
北大、星間氷微粒子の構造・形態を解明
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 北海道大学 低温科学研究所の香内 晃教授らの研究グループは9日、新たに開発した超高真空極低温透過型電子顕微鏡を用いて、星間分子雲で生成されるH2O、CO2、COを含む氷微粒子が、これまで仮定されてきたような同心円状の玉ねぎ構造ではなく、CO2ナノ結晶を含む非晶質H2OにキラルなCO結晶が局所的に付着した形態であることを解明したと発表した。
 
 さらに、氷微粒子が原始惑星系円盤で加熱される際も、これまでの仮定と大きく異なる形態変化を示すことを発見した。

 本研究の成果は、氷微粒子上での分子生成プロセスや惑星形成論など、これまで玉ねぎ構造を仮定して議論されてきた多くの現象の見直しを迫るものとなる。また、氷微粒子上のキラルCO結晶の形成は、生命の起源に関わる宇宙における片方の光学異性体過剰の発現のメカニズムに繋がる発見となった。
 同研究の成果は9月6日公開の「The Astrophysical Journal」誌にオンライン掲載された。


(参考)
◆研究手法 :
 星間分子雲の環境(極低温、超高真空)で種々の組成の氷を作り、それを観察できる超高真空極低温透過型電子顕微鏡を開発した。まず、星間分子雲でH2O、 CO2、 CO が固体(氷)になったとき、できた氷が結晶か非晶質かを決めるダイヤグラムを作成した。次に、非晶質の氷が結晶化するために必要な時間を測定した。さらに、できた氷の構造(結晶・非晶質)と形態(薄い膜状・島状)を透過型電子顕微鏡で直接観察した。


ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/210908_pr2.pdf