2021年09月27日
宇部興産、少量・高薬理活性原薬 本格生産開始
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:宇部興産
新工場の外観

 宇部興産は27日、宇部ケミカル工場(山口県)敷地内に、少量・高薬理活性原薬を製造する第五医薬品工場が完成し、試運転結果が良好なため、9月末から本格稼働を開始すると発表した。

 第五医薬品工場は薬理活性に優れた少量・高薬理活性の原薬製造に特化した工場で、 2021年5月に完成し、試運転を行っていた。

 近年、医薬品市場では、オンコロジー(がん)領域での治療の個別化や、オーファンドラッグ(希少疾患用医薬品)の需要の高まりなどから、有効な治療法が見つからないアンメットメディカルニーズ向けの医薬品の開発が活発化している。また、抗体薬物複合体( ADC )の開発など医薬品の多様化が進み、薬理活性の強い少量原薬の需要が高まっている。
 
 宇部興産はこれまで、既設の第四医薬品工場( 反応槽容量:8立法メートル)や、治験薬工場(同 :2立法メートル )で高薬理活性原薬 OELを製造受託し、市場に供給してきたが、新設した第五医薬品工場によって、より薬理活性の強い少量・高薬理活性原薬の製造が可能になった。
 
 今回の生産体制強化によって、今後さらに幅広いニーズに対し、開発から商用生産まで一貫して対応できるようになった。引き続き他社との共同開発も含めて「創薬」と「原薬・中間体製造」を両輪に、新しい医薬品の種となる化合物の創出をめざす方針だ。


<医薬品新工場の概要>
■建屋 : 鉄骨造 地上1階 延べ床面積約 860 平方メートル
■主要設備 : ▽主反応槽 300L × 2 基、▽ろ過乾燥機 1 基、粉砕機 1 基、▽キロラボ 20L 製造設備1式、
▽クラス100,000 クリーンルーム(反応/ろ過乾燥、粉砕、キロラボ)計 3 ユニット
■管理レベル : OEL 0.1μg/m3 (陰圧制御 1次、 2次封じ込め)、 GMP対応


<用語の解説>
◆OELとは: 取り扱うハザード物質が空気中に浮遊する雰囲気で、作業員の身体に何ら影響を及ぼさない濃度をいう。


ニュースリリース参照
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1632708881.pdf