2021年09月28日
北大、コケ植物を用いた進化発生細胞研究 成果発表
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院の藤田知道教授(理学研究院)らの研究グループは28日、東北大学大学院生命科学研究科の経塚淳子教授と共同で植物の進化発生細胞生物学の研究について概説した論文をまとめたと発表した。

 これまで植物の研究は、維管束植物のシロイヌナズナやイネを用いた研究が中心に行われてきた。最近はさまざまな種でゲノム配列が解読され、維管束植物だけでなくコケ植物などの多様な植物種における遺伝子の機能を比較・解析することが可能となった。最近は、生物がいかにして進化してきたのかについて、遺伝子やタンパク質レベルで理解しようという試みに発展している。

 植物の進化の過程では陸上進出や根、種子、花の出現という大きな出来事があり、これらを可能にした分子の進化についての研究が特に重要な課題の一つとなっている。
 
 現生のコケ植物は植物が陸上進出したときの形態に近いと考えられている植物で、より複雑な形態を持つ維管束植物との比較研究が近年盛んになってきている。

 今回、総説論文では、コケ植物を用いた最新の研究をまとめ、これまでに知られていた植物細胞の機能がどのように進化してきたのかについて考察した。特に、細胞の極性形成や細胞分裂の機構や、維管束植物の形態形成において重要な役割を果たすオーキシン極性輸送のメカニズムの進化について解説した。

 同研究成果は、8月30日に「The Plant Cell」誌にオンライン掲載された。


ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/210928_pr2.pdf