2021年10月07日
東北大、福島廃炉の「材料腐食データ」を取得
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学、大阪府立大学、東京大学、日本原子力研究開発機構などの共同研究チームは7日、東京電力福島第一原子力発電所(1F)の格納容器内にたまった水の中で、金属材料はどう腐食するのかを調べ、廃炉作業の安全対策に必要な、「放射線環境下での腐食データベース」を構築したと発表した。
 
 1Fの廃止措置を40年にわたり安全かつ継続的に進めるためには、経年的に進行する構造材料の腐食を抑制することが重要だが、1F廃炉のような放射線の影響を受けている環境での腐食反応の速度を決定する要因に関しては、十分なデータが得られていなかった。

 本研究では、1F廃止措置特有の放射線環境下での腐食トラブルの発生可能性、腐食対策等を検討するうえで有用な情報である、(1)海水混入系での水の放射線分解(ラジオリシス)データ、および(2)放射線照射下での腐食試験※5データをデータベース化した。
 
 また(3)1F廃炉工程における潜在的腐食影響に関して検討した結果を腐食調査票データベースとして整理し、 「放射線環境下での腐食データベース」として取りまとめた。

 今回の成果は、長期にわたる1F廃止措置をより安全に遂行するための足がかりとして、保全対策の根拠や安全対策立案へつながると期待できる。


(用語の解説)
◆ 水の放射線分解(ラジオリシス) :
 水に放射線が入射されると、放射線と水が相互作用する。この結果、水分子が分解され、水素(H)と酸素(O)からなる様々な化学種が発生する。この現象を水の放射線分解(ラジオリシス)という。
 

ニュースリリース参照 

https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20211007_03web_database.pdf