2021年10月12日
北大、肝臓が んの新規治療法とメカニズム発見
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院の武冨紹信教授(医学研究院)らの研究グループは12日、肝がん治療モデルマウスを用いてジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)α阻害が肝がんの増殖を抑える効果のメカニズムを解明し、免疫チェックポイント阻害剤との併用により相乗的な抗腫瘍効果が得られることを発見したと発表した。

 日本の肝がんによる死者は年間25,000人を超え,依然として生存率が低く、新規治療法の開発が望まれている。

 これまで、肝がん患者においてDGKαが高発現の症例で生命予後が不良であること、DGKα阻害が肝がん細胞の増殖を抑制することはわかっていた。

 今回、武冨教授らは、肝がん細胞及び肝がん治療モデルマウスを使い、DGKα阻害がインターロイキン2やインターフェロン(IFN)γの産生促進を介してT細胞による宿主免疫細胞を活性化し、抗腫瘍効果を増強することを示した。さらにIFN-γによって肝がん細胞における免疫抑制分子・PD-L1の発現が上昇することを見出し、免疫チェックポイント阻害剤による併用治療の相乗的効果を確認した。

 同研究の成果により、肝がんに対する新規治療薬の開発だけではなく、免疫チェックポイント阻害剤との併用治療効果が見込まれ、さらなる肝がん治療の飛躍が期待される。

 同研究成果は9月5日公開の「Cancer Immunology Immunotherapy」誌(オンライン)に掲載された。


<用語の解説>
◆ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)α  : 脂質代謝酵素の一つで,ジアシルグリセロールの代謝を調整することにより細胞内の情報伝達を調整している。


ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/211012_pr3.pdf