2021年10月20日
東レ、感光性導電材料 低抵抗化技術を開発
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 東レは20日、感光性導電材料 RAYBRIDのシート抵抗を従来比1/8に低減する低抵抗技術を開発したと発表した。同技術を適用したRAYBRIDは今後、大型化が進む車載用タッチパネルや、5G通信用透明アンテナ、透明ヒーターへの展開が期待できる。

 RAYBRIDは、独自の粒子分散技術と感光樹脂設計技術によって開発した微細配線の形成が可能な材料で、スパッタや蒸着による銅などの金属薄膜の配線加工と比べて、シンプルな工程が適用できる特長がある。
 
 車載用途の厳しい信頼性水準をクリアする幅4μm以下のメタルメッシュ配線形成を実現し、これまではカーナビゲーション用途等で採用が進んできた。しかし、非接触タッチパネルに向けた高感度化や、さらなる大画面化に向けては、一層の低抵抗化が必要だった。

 東レは、粒子分散技術の深化等により、シート抵抗を従来品比1/8に低減し、可視光透過率90%以上の透明度に優れたメタルメッシュパターンで、金属メッシュ並みの低抵抗化を実現した。

 欧州では、安全上タッチパネルの反射率は0.15%以下が要求されている。同社は、独自の感光性黒色材料を用いた配線黒化プロセスの構築により、低抵抗と微細配線形成性を損なうことなくタッチパネルの反射率0.1%以下を達成し、ぎらつきの抑制を実現した。

 これら新技術を組み込んだ材料は、低抵抗、低反射、フレキシブル、かつ高い信頼性を有することから、金属メッシュに代わる配線材料として期待できる。同社は今後、大型のタッチパネルだけでなく、低抵抗・視認性・信頼性が要求される5G通信用透明アンテナや、透明ヒーターの配線材料へ展開していく。
 
 また、繰り返し折り曲げても電気抵抗が変化しない高い屈曲耐性を有することから、フレキシブルタッチセンサー等、次世代に期待される幅広いデバイスへの適用も目指していく方針だ。


<用語の解説>
◆メタルメッシュ配線 
  タッチパネルの表示部に銀や銅などの金属を細い格子状に張り巡らせた電極。4μm以下の微細配線を形成することで、視認性に優れたタッチセンサを作ることができる。また、屈曲性に優れるなどの特徴がある。