2021年10月21日
京大など「泳ぐ微生物が海まで流されない理由」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

「泳ぐ微生物が海まで流されないのはなぜか」という疑問に応える研究結果を21日、京都大学の市川正敏講師(理学研究科)らのグループが発表した。

 同グループは、単細胞の繊毛虫テトラヒメナが、水中の構造物付近で走流性を示す機構を明らかにした。走流性とは、水の流れに逆らって遡上する性質のこと。グループは今回、流れ場でのテトラヒメナの動きを顕微鏡観察したほか、実験結果に基づく流体シミュレーションを行った。
 
 その結果、構造物付近で流れに逆らう行動は「推進力を生み出す繊毛の機械的な刺激応答特性」と「細胞形状」という、単純な2つの要素だけで説明できることが明らかになった 。
 
 この結果から、遊泳性の繊毛虫が水の流れに身を任せず、自身の生息に適した環境に留まる生存のための行動は、テトラヒメ ナが意識せずに、細胞の性質として自動的に行われていることが示唆された。
 同成果は10月20日に 米国の国際学術誌「 Science Advances」 にオンライン掲載された。
 
 
ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/211021_pr.pdf