2021年11月17日
東北大、呼吸器疾患に関連する遺伝子座を同定
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患はがんに次いで多い死因となっており、世界的にも重要な課題となっている。東北大学 東北メディカル・メガバンク機構の元池育子准教授らのグループは16日、COPDを含む呼吸器疾患と深く関わる遺伝的バリアントを同定したと発表した。

 呼吸器系の状態は、呼吸機能検査を通して評価できるが、2型気道炎症は呼吸機能に影響を及ぼすため、解析の際、この炎症の指標(FeNO)で調整することで、より精緻な呼吸機能の遺伝的背景解析が可能になる。
 
 東北メディカル・メガバンク計画が推進するコホート調査の参加者のうち、呼吸機能検査を行った約2万人を対象として、呼吸機能指標に関するゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った。その結果、日本人の気流閉塞(1秒率)に関して、FeNOによる調整効果は軽微なのの、関連する遺伝子座のプロファイルは欧米人主体の結果と異なることが明らかになった。また、2型気道炎症の指標であるFeNOについても解析を実施し、関連する3つの遺伝子座を成人集団で初めて同定した。
 研究成果は11月15日、「Communications Biology(電子版)」に掲載された。


<用語の解説>
◆FeNOとは : 呼気に含まれる一酸化窒素(NO)濃度。気道における2型気道炎症の重要な指標とされ、気管支喘息の診断、管理目的に臨床現場で汎用されている。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20211115_05web_copd.pdf