2021年11月19日
東農大など、植物が水環境を感知する仕組み解明
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:北海道大学

地球温暖化が農業生産に与える影響が懸念されるなか、東京農業大学、埼玉大学などの共同研究グループは19日、植物が水環境を感知する仕組みを解明したと発表した。植物が水利用環境の変化を統合的に感知する遺伝子を発見した。 乾燥にも冠水にも対応可能なコケ植物に着目し、極端な環境変化を感知し、生存に最適な応答を導く遺伝子を明らかにした。

この遺伝子は作物を含め陸上植物に共通して存在することから、今後は乾燥と冠水どちらにも柔軟に対応し、その回復力を高めた作物の育種への応用研究につながることが期待される。

研究グループによると、これまで植物がもつ「乾燥」と「冠水」という両極端な水環境への応答機構は、それぞれ独立して制御されていると考えられていた。乾燥応答は主に植物ホルモンであるアブシジン酸(ABA) を介して行われ、 冠水応答は植物ホルモンであるエチレンを介して行われることが知られている。

研究グループは今回、 乾燥と冠水に繰り返し晒されるコケ植物( ヒメツリガネゴケ) に着目し、この両極端な 水利用環境情報を統合し、生存に最適な応答を導く仕組みの解明に取り組んだ。その結果、乾燥と冠水の両応答に関わる因子として RAFキナーゼを見出した。

同研究成果は11月19日付の米国科学雑誌「カレント・バイオロジー」(電子版)に掲載される。


<用語の解説>
◆アブシジン酸 ABA) :植物ホルモンの一種。大地に固着し移動することができない陸上植物が乾燥ストレスを受けると蓄積量が高まり、 シグナル伝達を通じて生存に必要な様々な乾燥適応応答を引き起こす。


ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/211119_pr2.pdf