2021年11月22日
東北大、土壌中の休眠微生物が表出するメカ解明
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東北大学大学院工学研究科ファインメカニクス専攻 菊地 謙次准教授らは18日、微生物の発酵時の発泡によるブラジルナッツ効果を発見したと発表した。土壌中の休眠微生物・ウイルスが表出するメカニズムの解明につながると期待される。

大きさが異なる粉粒体の混合物に振動を与えると、大きな粒子が浮上し小さい粒子が沈降する。この物理現象は「ブラジルナッツ効果」として知られるが、メカニズムまではまだ明らかにされていない。粒子の比重(重さ)や体積(大きさ)、浮力や重力などの物理的な要因によって説明される「粒子の対流」と、「粒子の潜り込み」の二つの有力な説が提唱され、隕石の衝突での微粒子飛散や、地震後の土壌液状化現象などが、非平衡散逸系物理現象として注目されている。

東北大学の菊地謙次准教授らは、水中において酵母の発酵時の炭酸ガスの発泡によって微粒子内に沈降した物体が重力に逆らって浮上する、微生物由来のブラジルナッツ効果を発見したと発表した。今回、湖底や河底、海底などの土壌が堆積した環境下で、土壌を流動化し、「粒子の潜り込み」によって埋没した物体が水面へと浮上する物理現象の可視化計測に成功した。

水環境において沈殿した粒子が表面上に再浮上するメカニズムを力学的に解明し、可視化に成功した。この成果は、土壌中に休眠した微生物やウイルスの再興、未知の病原体が表出するメカニズムの解明に貢献すると考えられる。同成果は10月6日、「Soft Matter」誌の電子版に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20211118_02web_brazilnut.pdf