2021年12月02日
昭電、アルミ合金の設計条件を高精度 迅速予測
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:昭和電工

■アルミ合金の開発時間を大幅短縮

 昭和電工は2日、物質・材料研究機構(NIMS)および東京大学と共同で、2000系(注1)アルミニウム合金の設計条件と機械特性の相関を高精度で予測するニューラルネットワーク モデルを開発したと発表した。
 
 これにより、これまで困難だったアルミニウム合金の高温域での強度保持や熱処理条件の探索が迅速化できる。合金の開発に要する時間を1/2 から1/3 程度に短縮可能となる。

 アルミニウムは鉄よりも軽く、加工性に優れるため幅広く使用されているが、アルミ単独では強度が低いため、銅やマグネシウムなどの元素を加えアルミ合金として利用される。ただアルミ合金は、100℃以上の高温になると強度が急激に低下するため、高温下でも強度を維持できる合金の開発が求められていた。従来法では、アルミニウムに添加する元素の種類や合金自体の製造方法が複雑で製造に長い時間がかかっていた。

 こうした課題を解決するため、同社は内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」に参画し、NIMS、東京大学とともに、AI の一種であるニューラルネットワークを活用して、最適な合金設計条件の探索を可能とするシステムの開発を進めてきた。

■AI技術活用し、材料開発を加速

 今回、2000 系アルミニウム合金を対象とし、日本アルミニウム協会などの公開データベースから収集した同合金の410 種類の設計データを用いて、室温から高温にわたる幅広い温度域での強度を高精度で予測するニューラルネットワークモデルを開発した。

 さらに、ニューラルネットワークモデルの構造とパラメータをレプリカ交換モンテカルロ法を用いたベイズ推定により最適化し、強度予測値の確からしさについても評価を可能にした。同ニューラルネットワークは、10000 個の条件を2秒という速さで計算できるため、多くの設計因子を短時間・網羅的に評価できる。

 さらに今回は、任意の温度に必要な強度値を入力することで、それを満足する合金を得られる確率を最大化する設計条件を提示する「逆問題解析ツール」の開発にも成功した。200℃の高温下でも高い強度を維持できるアルミニウム合金の設計が可能となった。

同社は12月6~8日にアメリカで開催される2021年「Materials Research Society」秋季大会で同成果を発表する。

<用語の解説>
◆2000系:銅やマグネシウムが添加されたアルミニウム合金の系統で強度に優れる。ジュラルミン、超ジュラルミンなどが知られている。航空機の機体、工業部品(ねじ、ギヤ、リベットなど)で使われている。
◆ ニューラルネットワーク:人間の脳の神経細胞をモデルとした機械学習手法。入力層、中間層、出力層を持ち、中間層を持つことでより複雑な関係の表現が可能となる。層が深いディープニューラルネットワークを用いた機械学習をディープラーニングと呼ぶこともある。


ニュースリリース参照
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1638413700.pdf