2021年12月13日
東北大学、宇宙環境で中性脂肪濃度が低下
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:富山大学

 「国際宇宙ステーション(ISS)に約1ヶ月間滞在したマウスから微量の採血を行い、血液成分の網羅的な解析を行ったところ、血液中のリン脂質やコレステロールが上昇し、中性脂肪が低下していた」とする研究知見を、このほど東北大学東北メディカル・メガバンク機構(山本雅之教授)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究グループが発表した。
  
 宇宙環境における生体の代謝反応とその制御メカニズムの解明は、長期の宇宙滞在における健康維持にとって重要。今回の研究で、マウスの血液中の代謝物の精密な解析を行い、宇宙滞在がリン脂質やコレステロールの濃度を上昇させる一方で、中性脂肪濃度を低下させることを解明した。
 
 また、各種組織の遺伝子発現量を調べたところ、それぞれの組織で脂質を調節する遺伝子の発現量が変化していることもわかった。
 
 さらに、様々な遺伝子の発現を調節し、様々なストレスから細胞を保護す転写因子るNrf2の遺伝子をノックアウトしたマウスを宇宙滞在させたところ、同マウスではこのような変化が見られなかた。このことから、Nrf2が宇宙滞在の際の生体維持に必要な代謝制御に重要な役割を果たしていることが明らかになった。

本成果は、Nature姉妹誌「Communications Biology」オンライン版で12月9日に公開された。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20211209_01web_nrf2.pdf