2021年12月14日
北大と徳島大、患者の重症度診断センサーを開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院の石田晃彦助教(工学研究院)らの研究グループは13日、患者の重症度指標となる血液中のアラーム物質をベッドサイドでリアルタイムに測定するセンサーを開発したと発表した。

 これまで集中治療室に入室した患者の重症度診断には、多数の検査値から算出される数値が使われてきたが、重症度をリアルタイムに把握できなかった。徳島大学の木戸特任教授らは、血中アデノシン三リン酸(ATP)と乳酸の血中濃度比がリアルタイムで重症度を示すことを実証し、「A-LES値」という指標を提案した。だが、複数の専用測定装置が必要なため、迅速な診断には限界があった。

 一方、北海道大学の石田助教らはATPを簡便に測定できる手法を確立した。そこで両大学はATP値及び乳酸値の測定を一体化してベッドサイドでも迅速・簡便に測定できるセンサーの開発を進めてきた。

 開発したセンサーは血中ATPと乳酸に酵素を作用させ、それぞれ電極で測定する仕組みとなっている。両者の測定手法を統一し、一枚のチップに集積したシンプルなセンサー構成だ。マイコン制御により測定の手間が大幅に削減されているため医療現場に適している。

 同センサーの開発により、数ステップの操作で、重症度の指標であるATPと乳酸を約5分で測定が可能となった。
従来法と同等の測定値を示すことも実証された。患者のベッドサイドで利用可能なため、迅速な診断と治療に貢献することが期待できる。同研究成果は11月23日付の「Biosensors and Bioelectronics」誌オンライン版に掲載された。


ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/211213_pr3.pdf