2021年12月20日
北大、ヒキガエルの繁殖地 推定手法を開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

北海道大学大学院 農学研究院の荒木仁志教授らの研究グループは17日、環境DNA技術を用いて、北海道に生息するアズマヒキガエルの繁殖域の解明に成功したと発表した、川の水からヒキガエル由来のDNAを検出して、その繁殖域を広く簡便に推定することに成功した。

アズマヒキガエルは東日本に生息する陸棲のカエル(外来種)で、高い毒性を有するため、石狩川流域の旭川周辺では以前からこのカエルの駆除が行われてきたが、夜行性で普段は森に隠れているため駆除は難しく、近年は石狩川下流にもその分布が広がっている。

研究グループは、アズマヒキガエル繁殖期の集水域から本種由来のDNAを検出する技術を開発し、広域調査を行った。その結果、石狩川本川を含む12河川・32地点の水からDNAが検出され、うち21地点では近傍500m以内に目視情報がないことがわかった。

これらの発見は、外来毒ガエルの繁殖地が石狩川水系に広く及んでいることを科学的に証明した。また野外で捕獲や目視の困難な希少種や外来種の広域分布・生態の解明に、環境DNA技術が有効であることを示した。現場では水を汲むだけでよく、簡便な手法のため、地域住民が身近な生態系を見守る手段の一つとして活用できると期待される。

同研究成果は12月15日公開の「Biological Invasions」誌に掲載された。


ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/211217_pr2.pdf