2022年01月06日
東北大、1個の水分子の量子回転運動検出に成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

東北大学 先端スピントロニクス研究開発センターの平山祥郎教授らの研究グループは6日、電流計測により水分子の回転運動の検出に成功したと発表した。

1個の水分子を包み込んだカゴ状のフラーレン分子に電極を形成して、分子を流れる電流を測定し、水分子の量子力学的な回転運動を検出した。

近年、量子情報処理技術において、分子や原子の量子状態に情報を担わせることが検討されている。1個の酸素原子と2個の水素原子からなる水分子(H2O)は構造が単純なため、量子技術への応用に適している。だが、これまでは、水分子同士が形成する水素結合のために、単一の水分子の量子状態を測定することは困難だった。

今回、1個の水分子がカゴ状のフラーレン分子に、原子スケールのギャップを持つ電極を形成し、単一分子トランジスタ構造に流れるトンネル電流を計測することにより、水分子がフラーレン分子内で行なう量子力学的な回転運動を検出した。

この計測技術は、単一分子・単一原子が持つ量子情報を読み出すための基盤技術となるもので、将来的には1個の原子が持つ量子状態を情報の媒体とする量子情報処理技術につながると期待される。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220106_02web_transistor.pdf