2022年01月17日
北大、青色LEDの光によって触媒反応を促進
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院 理学研究院の澤村正也教授らの研究グループは、入手容易な青色LEDの光によって駆動する画期的なクロスカップリング反応を開発し、安価な銅で構成される分子触媒を用いて有用化合物を効率よく合成することに成功したと発表した。

 青色LEDの光によって促進される画期的な触媒反応を開発した。安価な銅を分子触媒の金属成分とすることで環境負荷やコストの低減を実現した。

 持続可能な社会の実現に向けて再生可能エネルギーである太陽光の有効利用は重要課題の一つ。光を利用した化学反応の研究も活発化している。しかし、従来方法では多くの場合、人体に有害な紫外光や光を効率よく吸収するための高価な貴金属の添加剤(光触媒)を用いる必要があった。また、医薬品や光電子材料といった化成品を合成する上で不可欠なクロスカップリング技術にもパラジウムなどの貴金属を用いる必要があった。

 研究グループは、銅を中心とする分子触媒を光によって活性化する革新的な手法で、これらの課題を一挙に解決した。銅は地球上に豊富に存在し価格的にも比較的安価。銅触媒で青色LEDの光を直接吸収することで反応が進行するため、外部の添加剤を必要とせずコストや地球環境の観点から極めて優れた化学反応といえる。
 
 この技術を活用することで従来の貴金属に頼った化学反応を刷新し、持続可能な社会の実現に大きく近づくことが期待できる。

なお,本研究成果は22年1月6日公開の「Journal of the American Chemical Society」誌に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220114_pr2.pdf