2022年01月21日
北大、光の入射角度が生物時計の光反応に影響
【カテゴリー】:行政/団体
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 北海道大学大学院 教育学研究院の山仲勇二郎准教授らの研究グループは21日、光の入射角度が異なるウェアラブル型の高照度光装置を用いて、光の入射角度のちがいがメラトニン分泌抑制率と瞳孔の縮瞳率に影響することを発見したと発表した。
 
 これによって、光の入射角度のちがいが生物時計に光情報を伝達する網膜神経節細胞の分布と関連する可能性が示唆された。

 研究では、視覚に異常のない成人男女を対象に、光照度を生物時計に影響しない 5ルクス以下の低照度に設定した実験室内で行った。普段の就寝時刻の4時間前から就寝時刻まで過ごした後、ウェアラブル型の高照度光装置を用いて10,000ルクスの高照度光を1時間照射した。
 
 光の入射角度を眼球面に対して55度(上方)と28度(下方)に設定し、メラトニンの分泌抑制率を比較した。さらに、恒常暗下と高照度光下で赤外線カメラを使用して瞳孔径を測定し、瞳孔の縮瞳率を比較した。
 
 その結果、下方からの入射角で光を照射した際には、上方からの光照射に比べメラトニン分泌抑制率と瞳孔の縮瞳率が増加することを発見し、下方から光を照射することでより多くの光が網膜のipRGCを活性化させることを実験的に証明することに成功した。
 
 本研究によって、ウェアラブル型の高照度光照射装置を設計する際には、これまでの研究により指摘されてきた光の強さ(照度)と色(波長)に加え、光の入射角度を最適化することが重要であることがわかった。
 
 今後、気分障害・ 睡眠障害に対する高照度光療法 の効果を高める新規 ウェ アラブル型光照射装置の開発につながると期待できる。同本研究成果は1月21日公開の「Sleep and Biological Rhythms」誌にオンライン掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220121_pr.pdf