2022年01月24日
京大、シグナル伝達による多様な細胞応答を特定
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

 細胞が外界のシグナル分子を受け取る受容体の1つのグループに、ERBB1~同4からなるERBBファミリーがある。
ERBB受容体は、シグナル分子を受け取ると、互いに結合やリン酸化などの反応を行い、これをきっかけに細胞の増殖や分化などの多様な応答が起こる。ところが、4種のERBBの結合反応やリン酸化反応の詳細は計測が難しく、シグナルに対する多様な応答がどのように作り出されるのかわかっていなかった。

 これに対し、望月敦史 ウイルス・再生医科学研究所教授や理化学研究所の研究グループは、ERBBの組成を様々に変えた細胞と複数のシグナル分子を用いた計測実験を行い、ERBBの可能な反応を全て取り込んだ数理モデルを適用することで、4種のERBBの反応の性質やシグナルによる反応の変化を初めて特定した。
 
 さらに、数理解析を進め、応答の多様性に本質的な役割をになう反応を明らかにした。ERBBの反応の詳細が分かったことで、将来的には増殖や分化などのシグナル伝達が引き起こす応答を制御できる可能性がある。
 本研究成果は、2021年12月24日に、国際学術誌「Biophysical Journal」にオンライン掲載された。

<用語の解説>
◆シグナル伝達とは : シグナル分子として外界から情報を受け取り、細胞が様々な応答を示すこと。またはその仕組み。

ニュースリリース参照
https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2022-01/20211224-mochizuki-ee9c42a1ecde0e5b5e98d5ddca091a75.pdf