2022年02月25日
菱ガス化と日立、半導体材料などの新材料開発をDX化
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:三菱ガス化学

 三菱ガス化学と日立製作所は25日、両社の協創を通じて半導体材料などの新素材開発の取り組みを強化すると発表した。両社は、AI やデータ解析により新材料や代替材料を効率的に探索するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)などの先進デジタルソリューションを活用し、半導体材料分野で新素材探索の精度を約 50%向上させるほか、新素材探索に必要な実験時間を30~50%短縮させることを確認した。

■協創の内容と成果
 三菱ガス化学の機能化学品事業部門は、日立の Lumadaで展開する「 材料開発ソリューション 」を活用することで、CO2由来の素材を用いた仮想実験などにおいて、新素材探索の精度向上と実験時間短縮など、素材開発の効率化による環境負荷の軽減に貢献する。

(1)最適組成探索のための仮想実験により、実験回数削減や実験精度向上を実現
 これまで、熟練者が手作業で、大量の原材料とその配合比率のパターンから、新規の高機能ポリマーや半導体材料の条件探索をしてきた。今回、MI を用いた仮想実験により、新素材に要求される特性を満たす素材の組み合わせの探索に成功した。これにより従来膨大な時間を要した新素材の条件探索が効率化し、開発期間を大幅短縮することに成功した。

(2)電子顕微鏡画像と材料品質の関係性の定量化により、材料品質を安定化
 これまで、熟練者の経験をもとに、顕微鏡画像や目視観察などで材料の画像と品質の関係性を定性に判断していたため、実験結果の再現が困難だった。今回、MI と画像解析技術を用いて、原材料の顕微鏡などの大量画像から材料性能の異常を自動識別することで、製品開発時の最終実験候補の組み合わせを従来手法の約半分程度の時間で見出すことに成功した。これにより、顕微鏡画像から材料品質を定量的に判断でき、製品開発時の品質安定化を実現した。

(3)研究計画・実験データ・研究プロセスの統一的な蓄積・利活用
 これまで、実験が複数工程に跨るため、研究計画と結果の関係性を把握することが困難だった。今回、実験データを管理するサービスを用いて、研究計画、実験データ、計画・承認・実行などの研究プロセスの統合化・可視化、研究者間での実験情報の共有を実現。これにより、研究管理や過去の実験データの検索が容易になり、新規樹脂開発に関する実験管理時間を 30~50%削減することができた。
  
ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1645755867.pdf