2022年03月08日
東大、体液に触れると瞬時に固化する高性能な止血実現
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東京大学

 東京大学大学院バイオエンジニアリング専攻の鎌田宏幸氏(特任研究員)らの研究グループは7日、体液と接触した際に速やかに自己固化する合成ハイドロゲルを設計したと発表した。

 外科手術では出血の制御が極めて重要で、軽度な出血であれば、自然な血液凝固反応によって止血されるが、太い静脈や動脈からの出血に対しては止血剤を併用した圧迫止血が必要となる。しかし、既存の止血剤には、止血に長い時間を要するうえ、ヒト血液成分由来の感染症伝播が否定できないなどの課題があって、医師・患者双方に負担となっている。

 新たに見つかったハイドロゲルは、はじめは液体だが、体液の一種である血液と接触すると瞬時に血液を巻き込んだ固化を起こし止血に至る効果がある。ラットの下大静脈大量出血モデルでは、1分間で安定した止血効果が得られた。

 今回開発した新規合成ハイドロゲルは、血液凝固反応とは独立した作用機序をもって速やかな止血に至るだけでなく、未知の感染症の伝播も否定でき、将来の医師・患者双方の精神的負担軽減に貢献できると考えられる。

 同研究成果は3月3日に「Annals of Vascular Surgery」(オンライン版)に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.h.u-tokyo.ac.jp/press/__icsFiles/afieldfile/2022/03/07/release_20220307.pdf