2022年03月14日
東工大、藻類に窒素をより多く取り込ませる機構を発見
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:東京工業大学

 東京工業大学大学 院総合理工学研究所の田中寛教授、東北大学大学院 医学系研究科の島弘季助手らの研究グループは、植物の成長に欠かせない窒素の取り込みを活性化する転写因子であるMYB1(植物、昆虫などに広く存在する)の機能が、窒素が充分に存在する環境では抑制されてしまうメカニズムを、植物の原型と言える藻類を用いて解明したと発表した。

 研究グループは、全長のMYB1を持つ株と、MYB1の一部を欠損させた複数の株の比較対照によって、MYB1が自身の内部に持っている機能を抑制する部位を特定した。また、機能抑制部位と結合するタンパク質の探索を行い、抑制のメカニズムを明らかにした。このメカニズムの応用によって、窒素が豊富に存在する環境であっても、窒素を取り込む遺伝子群の発現を維持する藻類の作出にも成功した。

 窒素は、藻類のみならず植物全般の成長を決定づける栄養素のため、窒素を効率的に多く取り込ませることは、植物の成長促進および作物生産に有効と考えられる。

 今回解明された窒素取り込み活性化のメカニズムを藻類や作物などに応用することで、藻類バイオマス生産の低コスト化や、低窒素環境での食糧増産などへの貢献が期待される。

 同成果は3月11日、スイスの科学雑誌「Frontiers in Plant Science)」オンライン版に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220309_02web_sourui.pdf