2022年03月23日
日化協・第8回LRI賞にメチル水銀研究の黄 基旭教授
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【関連企業・団体】:日本化学工業協会

 日本化学工業協会は23日、(一社)日本毒性学会(菅野 純理事長)内に設けられた日化協 LRI賞の第8回受賞者として「メチル水銀による脳内炎症応答を介した毒性発現機構の解析」を発表した東北医科薬科大学 薬学部の黄 基旭 (ふぁん ぎうく)教授に決ったと発表した。
 
▽テーマ : メチル水銀による脳内炎症応答を介した毒性発現機構の解析

■受賞理由
 メチル水銀は水俣病の原因物質として広く知られているが、水俣病の発症から半世紀以上が経過した現在も、その毒性発現機構や防御機構はほとんど解明されていない。受賞者は、タンパク質の翻訳後修飾の一種であるユビキチン化やパルミチン酸化などが、メチル水銀毒性に関与する細胞内タンパク質のレベルや機能を調節することによってメチル水銀毒性の発現調節に関与していることを初めて明らかにするなど、メチル水銀毒性の発現機構を解明するうえでの突破口ともなり得るいくつかの貴重な知見を導き出した。また最近は、メチル水銀を投与したマウス脳内で多数の炎症性サイトカインやケモカインが発現誘導されることで脳神経障害を引き起こすことを見いだし、その一部に関わる分子機構を明らかにした。
 
 黄教授は、これまで日本毒性学会奨励賞や日本毒性学会田邊賞など多くの賞を受賞してきたが、一貫してメチル水銀の毒性に対する感受性決定機構の研究に取り組んできた。授賞式は6月30日~7月2日に札幌コンベンションセンターで開催される第 49 回日本毒性学会学術年会で行う。
 
ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1648001798.pdf