2022年04月15日
埼玉大、天然ゴム・ポリイソプレン試験管で再構成
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:住友ゴム

 埼玉大学大学院の戸澤譲教授(理工学研究科)および住友ゴムなどの研究グループは14日、独自の膜タンパク質再構成システムを構築し、天然ゴムを生産する植物パラゴムノキおよびグアユールに由来する特定の2種類のタンパク質を組み合せて、天然ゴムの基本骨格となるポリイソプレンを合成する酵素の活性を試験管内で再現することに成功したと発表した。

 天然ゴムは、タイヤをはじめ様々な産業用途に重要な植物由来資源であることから、長年その生合成に関する研究が進められてきた。これまでも同グループは、パラゴムノキ由来のゴム粒子を材料に、天然ゴム生合成装置の構成因子同定を進めてきたが、コア酵素サブユニットの完全な触媒機能の証明にいたらなかった。
 
 今回グループは、これまで培ってきた膜タンパク質合成系に平面膜複合体である「ナノディスク」を利用することで、完全な試験管内での天然ゴム合成コア酵素の再構成に成功した。さらに、最近のAI技術に基づくタンパク質高次構造予測システムを採り入れ、個々のサブユニット同士の会合様式を予測すると同時に、それぞれのサブユニットが独自の膜結合領域を有すること、またこの膜結合領域の機能欠損が酵素機能喪失を招くことなどを解明した。今後、ゴム合成メカニズムの解明に大きく前進することが期待される。

同研究成果は3月8日、英国科学雑誌「Scientific Reports」に公開された。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220414_00web_enzyme.pdf