2022年04月26日
北大、北極海の動物プランクトン2種の生活史を解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院 水産科学研究院の山口篤准教授と米国ウッズホール海洋研究所は25日、1997~98年にかけて北極海に設けた氷上定点で1年にわたって採集した動物プランクトン試料を解析し、北極海に生きる肉食性動物プランクトン2種の生活史を明らかにしたと発表した。

 北極海は冬期間に結氷するため、1年にわたるプランクトン試料採集が困難で、年間を通しての生活史に関する知見は乏しいのが現状だ。1年にわたるプランクトン採集試料として,1997年~98年にかけてカナダの砕氷船を氷上定点の基地として採集した時系列採集試料は、SHEBA試料として知られている。

 研究グループはこのSHEBA試料を解析し、動物プランクトンに優占する肉食性カイアシ類2種の生活史を明らかにした。北極海の海洋生態系において肉食性カイアシ類は、高次捕食者である魚類の餌になるだけでなく、大型な粒子食性カイアシ類の初期発育段階個体を捕食する、海洋低次生態系内の物質循環を左右する重要な役割を担っている。

 同研究の成果は、気候変動により今後予想される北極海の海洋生態系の変化の過去環境資料として重要な知見となる。

なお、同研究成果は4月23日公開の「 Journal of Plankton Research 」誌に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220425_pr2.pdf