2022年05月17日
京大、次世代自動車用鋼板の内部組織変化を直接観察
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 京都大学 材料工学専攻の 平山恭介助教は16日、九州大学および高輝度光科学研究センターと共同で、大型放射光施設SPring-8を用いて、非破壊でTRIP鋼の相変態挙動を直接可視化できる、X線ナノトモグラフィー技術と結晶方位や転位密度を測定可能なペンシルビーム回折トモグラフィーを組み合わせた、マルチモーダル解析技術を開発したと発表した。

 研究では、外部負荷中の鋼材のその場観察に同技術を初めて適用し、その結果、個々のオーステナイト粒の相変態、変形、回転挙動を3次元的に明瞭に観察することに成功した。以前は鋼材の比較的広い領域で平均的な情報しか得られなかった。このため最適なミクロ組織の設計指針を得ることはできなかったが、今回、個々の残留オーステナイト間の相互作用が直接可視化され、ミクロ組織設計の明瞭な指針を得ることができるようになった。

同成果は、4月17日に英国の国際学術誌「Acta Materialia」にオンライン掲載された。

<用語の解説>
◆TRIP 鋼とは :TRIP 鋼は、母相である体心立方構造のフェライトと室温で準安定な面心立方構造の残留オーステナイトからなる複合組織。TRIP 鋼に外力が加わることで、残留オーステナイトが硬質な体心正方格子のマルテンサイトへと相変態する。TRIP 現象は、相変態によって伸びが増加する変態誘起塑性のことで、この現象を発現する鉄鋼材料を TRIP 鋼と称している。

ニュースリリース
https://www.t.kyoto-u.ac.jp/ja/news/topics/research/20220516_2_gaiyou